6. 部会・研究会アニュアルレポート
光触媒研究会
1.はじめに
本研究会の遠祖は、研究会制度が開始された翌年の1988年から始まる「エレクトロキャタ
リシス研究会」である。1994年には、その後継研究会として「電子または光子がかかわる触
媒研究会」が発足した。触媒反応のドライビングフォースとして外場を作用させるというこ
とを強調して命名されたものと思われる。「光触媒研究会」は、さらにその後継研究会とし
て2004年に引き継がれたものである。また、当研究会発足のもう一つのきっかけは「光がか
かわる触媒化学シンポジウム」の開催である。同シンポジウムは「光がかかわる触媒化学の
小討論会(触媒学会主催、1979-81年)」として始まり第1〜3回「太陽光エネルギー変換にか
かわる触媒化学シンポジウム(理研、1982-84年)」を経て1985年から現在のタイトルに至っ
ている。連綿と続くこの研究分野に新しい風を吹き込んできた日本の触媒学会を中心とする
研究者の当該分野への貢献は極めて大きい。可視光水分解をはじめとしたこの研究分野にお
いては、日本が世界をリードしている。
2.今年度の活動内容と展望(敬称略)
今年度も、「光がかかわる触媒化学シンポジウム」(第36回)を6月30日、近畿大学にて開
催した。また、例年どおり触媒討論会へのセッション参加の事業を展開した。
シンポジウムは、今後の研究の方向性を示す特別講演(1件)、研究成果を総括的に示す総
合講演(3件)、最新の研究成果を示す一般講演(13件)、学生によるポスター発表(27件)
で構成された。本シンポジウムでは、様々なステージにある研究を合わせて拝聴することが
できるため大変勉強になる。ポスターセッションでは、とくに、学生と若手研究者との間で
活発な討論が行なわれた。また、ポスタープレゼンテーション前に行われたポスタープレビ
ューの完成度が高く、この分野が学生により大きく切り開かれつつあることを感じさせた。7
名にポスター賞を授与した。関西での開催であったため、発表件数および参加者の減少が懸
念されたが、ともに前回を上回った。参加者は101名で、企業からの参加者(26名)が昨年よ
り10名以上増加し、企業研究者の関心の高さが感じられた。
愛媛大学で行われた第120回触媒討論会に光触媒セッションとして企画し、58件の口頭発表
と36件のポスター発表があった。これは、2011年度から引き続き各セッション中でもっとも
多い発表件数であった。特別講演として、田中庸裕先生(京都大)に「光触媒機能を利用した
NOx処理」を、依頼講演として、亀川 孝先生(大阪府大)に「ナノ構造・機能制御した粉末・
薄膜光触媒材料による環境保全とエネルギー創製」をお願いした。また、天野史章先生(北
九州市大)の学術奨励賞受賞講演「酸化物光触媒の材料設計におけるキャリア輸送の効率化
と高機能化」もセッションの間に入れていただいた。いずれの講演も盛況であった。
3.世話人代表
古南 博
〒577-8502 大阪府東大阪市小若江3−4−1 近畿大学理工学部応用化学科
E-mail: hiro@apch.kindai.ac.jp TEL: 06-4307-3452